西洋医学と東洋医学を綜合・統一

1941(昭和16)年大阪中央公会堂での講演の模様

生活医学創始者であり、当法人の創設者である多田政一博士は、1911(明治44)年に大阪市で生まれました。中学生の頃から医者を志し、勉学に励んでいた政一ですが、高校受験の折に結核を患い入院。治療を受けたにもかかわらず治らなかったことをきっかけに、西洋医学に対する疑問を抱きはじめます。そして、漢学者で東洋思想にも造詣が深い、父の多田北溟の影響もあり、人間が本来持っている自然治癒力を最大限に発揮させる東洋医学に可能性を見出しました。

1975(昭和50)年 第23 回世界ベジタリアン会議(アメリカ)出席

その後、多田博士は、東京帝国大学(現東京大学)理学部動物学科に進学。生理学を学び、大学3年の時には、西洋医学と東洋医学を綜合・統一的にとらえた「綜統医学(現在の生活医学)」を提唱しました。当時死の病といわれた結核患者が綜統医学を実践し、多くの方が治癒したことから、全国へ広まり、政財界の方々も多く会員になりました。

戦後には伊豆韮山に「綜統学術院」を創立。ここでは家族や同志、博士の指導の下、病気と闘う塾生たちと生活を共にし、ここでの活動は養生法や天然酵母飲料の開発にもつながりました。また、1950 年代の外貨が不自由な時代にベジタリアン世界大会へ参加、綜統医学と発酵食の重要性を世界へ発信。こうして綜統医学の普及と実践に生涯を捧げました。

多田博士の功績は「日本の食革命家たち」(太田竜著 1984(昭59)年刊行)で紹介され、安藤昌益、石塚左玄、桜沢如一、千島喜久雄等の先生方と並んで称えられています。

多田政一 プロフィール

1911(明治44)年、大阪市生まれ。東京帝国大学(現東京大学)理学部動物学科卒。医学・哲学者。国際ベジタリアン連盟・名誉副総裁。国際ベジタリアン連合・初代日本代表。第二次世界大戦前、綜統医学連盟代表。戦後、伊豆畑毛温泉に綜統医学院設立。欧米各国の国際アカデミーから、理学博士及び哲学博士の名誉学位及び客員に推される。「21世紀への健康法」「食と性で健康」など著書多数。1998(平成10)年、88歳で逝去。