自然治癒力に焦点を当てた実践的医療
生活医学は、紀元前3000年ごろに体系化された東洋の養生医学の原理を現代に生かし、故・多田政一博士が創始開発した代替医療です。東京帝国大学で生理学を学んだ多田博士は、漢学者であった父親の影響により東洋思想に造詣が深かったこと、また対症療法として薬を多用する西洋の医学に疑問を持っていたことから、1935(昭和10)年に、東洋医学と西洋医学を綜合統一した「綜統医学」を提唱し、それが現在の生活医学の根本となっています。
生活医学の特徴は、自然治癒力に焦点を当てた点、そして医療を行う側ではなく、生活者の医学であるということ。その核にあるのは「養生」です。養生とは生気を養うことであり、食はもちろん生活そのものが養生となります。つまり、ライフスタイルに生活医学の養生法を取り入れること――それが健康への近道となるのではないでしょうか。
生活医学とは
- 多田政一博士が創始開発された、哲学と医学をベースにした実践的生活文化です。
- 東洋医学と西洋医学を綜合統一し、3つの養生法、天丹法(家庭療法・健康運動法)、地丹法(発酵食養法)、人丹法(生活精神医学)よりなります。
- ホメオスタシス・システム(自然治癒力)の機能促進と心の成長を眼目とし、目指すところは健康で幸福な人生です。
3つの養生法 ~運動・食事・心身のケアで健康へ
生活医学の軸である養生法は、病気の治療や予防を、体を全体視し全身療法として根治させる療法です。具体的には、家庭療法と健康運動法にあたる天丹法、発酵食を行う地丹法、心身のケアを行う人丹法の3つからなります。家族や自分自身で行えるのが特徴です。
天丹法(家庭療法と健康運動法)
天丹法は、病気の治療や予防を、体のある一部分のみではなく全体としてとらえて行う全身療法で、家庭療法と健康運動法があります。
- 家庭療法…肝臓・腎臓・脾臓の温冷湿布法、皮膚まさつ法、目・鼻の洗浄法、のどのうがい法 等
- 健康運動法… 天足法、臀部叩打法、足心操作法、五音体操法 等
地丹法(発酵食養法)
自然食を有益な微生物で調理した伝統食「発酵食」を食する養生法です。なかでも穀物を発酵させ、長い歴史の中で菜食に合った体質の日本人に親和性のある「天然酵母」を発酵食から取り入れ、健康づくりに生かすことに主を置いています。
人丹法(生活精神医学)
家庭内での夫婦、親子の関係、社会における人間関係を考える精神医学です。人間は人の間に生きる動物であるゆえ、最大のストレスは人間関係ストレスです。そのストレスを克服し、次第に成長することが自然治癒力の改善、そして健康につながります。